「生きる」と言うこと。患者様の紹介で知り合った食道癌末期の患者との出会い。
こんにちは横浜市金沢区西柴にある「カイロプラクティックわかな」院長の池田わかなです。
12月始め私は患者様の紹介から食道癌末期と宣告された方と関わり始めました。
抗がん剤治療も放射線治療も手術も出来ない状態の方でした。
今はヘモグロビンの数値が悪いので輸血をしながら身体を保っている状態です。
「食べると言うことは生きると言うこと」
食道癌は食道が圧迫されているため食事がきちんと摂れません。
固形物を飲み込むことで傷がついて出血する恐れがあるため柔らかいものを食べることになります。
万が一出血した場合ヘモグロビンの数値が悪いので出血がおさまらず大変なことになってしまうとお医者様に言われてしまうこともあります。
口から食事と言うかたちで栄養が摂れない場合、経管栄養も考えられますが管を入れる際に傷がついてしまう恐れもありリスクが高くなります。
人の身体は食べた物の栄養で出来ています。細胞、骨、筋肉、関節、皮膚すべてのものを作り上げているのは口から食べた栄養です。
でもこの栄養が充分に摂れない状態になってしまうと身体を作ることができなくなってしまいます。
飲み込むことで傷がついて大出血するか、ゆくゆくは食べることができなくなってしまうか。
食べれなくなって栄養が摂れなくなり体力が落ちることも予測される状況です。
栄養がいかなければ身体を機能させることも修復することもできなくなる。
なんとかして身体に栄養を入れてあげなければいけない。
「食べる」と言うことは生きると言うこと。
おなかが満腹になれば良いと言うわけではなく、きちんと身体が機能するようにきちんと修復していくように細胞や骨、関節や筋肉、皮膚に充分な栄養がゆきわたるようにしてあげるために私たちは食事をします。
ですが現実には身体にゆきわたるほどの栄養を摂るのが難しいのが現状です。
だから身体を壊す。
充分な栄養が身体に入っていれば身体は修復することができます。免疫力を高めることや必要なホルモンを出すこともできるようになります。
どんなにすごい治療をしても身体に充分な栄養を入れてあげなければ栄養不足な状態では身体は修復することができません。それどころか副作用など身体にとって負担が大きすぎます。
身体に必要な栄養を充分摂ることで身体を修復できるようにしてあげることはとても大事なことなんです。
ところが食道癌で栄養を身体に入れることが難しい状況になってしまうと相談がありました。
「とにかく栄養を入れる」
食べることに制限があると体力は消耗が激しくなります。
毎週輸血をしてもらいに病院に通うことも大変です。
治療ができないと言われたため入院もできない状況であれば食事の準備も自分でしなければなりません。
生活のすべてをしなければならなくても体力はどんどん失われていきます。
あらゆることに制限が生じてしまいます。
まだ飲み込むことができるうちに身体の修復ができるように栄養を入れていく事は大事なことです。
食べることに制限があるとお食事するのも大変です。
どうしてもスープのような食事を選びがちになってしまう。
喉どうりの良い物を選ばなくてはいけないのでシチューや麺類の食事が増えてしまいます。固形物はゆっくり噛み砕いて食べますが時間がかかるから食べているうちに満腹になってしまいます。
食事を作る手間がかかるのでレトルトやお惣菜を利用して身体への負担を軽くしがちになります。
どうしても身体に栄養が入らなくなってしまいます。
患者様とはお話をして身体に必要な栄養をお出しすることになりました。
細胞に必要な栄養、筋肉に必要な栄養、血液や血管に必要な栄養、身体の中をきれいにするための栄養、免疫力をあげるための栄養。5種類の栄養をたくさん入れることで身体を修復できるようにしていきます。
固形のものでもまだ粒は飲み込めるのでゆっくりひとつずつ飲み込むようにするので時間がかかりますが飲み込めなくなるようでしたら砕いて飲むようにしてもらうことになります。それも難しくなってしまったら水分として摂取できるタイプのもので栄養を摂るようにしてもらうことになるでしょう。
「施術ができない」
始めてお会いした時には顔色は白いのに少し黄色がかった肌の色をしていました。お顔や手に浮腫みがあり皮膚組織が脆くなってしまっている状態でした。
施術院では癌に対してのカイロプラクティック特に骨に力を加えての矯正は厚生省の指導により禁忌行為となっています。オステオパシーや操体法、PIRなど選択肢がありますがあまりに皮膚組織が脆すぎるとリスクがとても高くなります。
造血できない身体で毎週輸血に通うのであれば内出血させることは危険です。
栄養を入れて骨や筋肉血管などを強くしてあげることができると期待して今は施術はできないことをご説明いたしました。自分で身体の歪みを整える為の体操もボデイコントロールバンドや運動枕を使うため内出血する危険があります。
それほど血管が脆くなってしまっているので簡単なことで内出血をおこします。
身体が歪んでいると自律神経の流れが悪くなり血液やリンパも滞ります。筋肉は硬く張り身体のいたるところで不調を感じます。身体を修復するための修復ホルモンも分泌できなくなりますし身体の歪みをとってきちんと身体を修復できるようにしてあげることはとても大事なことです。
身体は眠っている時に修復されます。歪んでしまった身体は自律神経の乱れや全身の筋肉の筋緊張から眠ることができなくなってしまいます。眠れないと身体は修復されません。
眠れる身体にしていく事でそして修復する材料(栄養)を入れることで身体は健康になっていきます。
施術も歪みを整える体操も内出血のリスクが高いため姿勢矯正板に頼ることしかできません。
身体が常にだるくなってしまっているので横になる時間も増えます。姿勢矯正板で眠ってもらって姿勢をきちんと整えてもらうことで自律神経や血液リンパの流れを良くしてもらうことが必要になります。
また姿勢が悪いと内臓も圧迫されてしまうので身体への負担も大きくなります。内臓が正しい位置に戻るようにしてあげることも重要です。
例えば不妊やEDなどで何度も不妊治療しているのになかなか思う様に効果が見られないなどの場合
骨盤が歪んでいるために細い卵管や精管が圧迫されていれば当然ながら問題が見られます。細い細い管なので骨盤のちょっとした歪みによってさまざまな影響が見られます。骨盤が歪んでいるのに保護されている内臓が正しい位置にあるわけがありません。
これは骨盤の中だけでなく身体の至る所で見られます。骨格は内臓を保護するためにあります。骨格が歪んでしまうことで神経や血管リンパ管なども圧迫されてしまいます。
骨格をきちんとした位置に戻してあげることで神経の流れや血液の流れリンパやその他あらゆるものが上手に流れるようにしてあげることが大切です。
ところが癌の影響で造血作用ができなくなってしまって内出血をおこしやすい脆い血管の状態では施術や体操で身体の歪みを取ることは難しくなってしまいます。
姿勢矯正板に寝てもらって身体の歪みを整えてもらうことしかできません。
「生きることに正直に」
私達カイロプラクターは日本では医者ではありません。病気を治せると決して言いません。
ですが医者に治療する方法がもうないと言われたとたくさんの方から相談を受けます。
病気に対する治療方法がないのであれば根本的なところから見直しを始める方がたくさんいらっしゃいます。
「癌か、俺死ぬんかな・・・って思ったんだ・・・」
そう言われた時、何ができるかと考えることしかできませんでした。
QOLが失われないようにできることがないのか患者様と一緒に考えていきます。
お話する時間もたくさん使っていかに身体に向き合っていくか一緒に考えていきます。
病院で余命宣告を受けた時まだ実感がわかないでいる時も、徐々に不安が襲ってくる時も、話を聞くことしかできない時も一緒に考えていきます。
それはお医者様にはできないことかもしれません。
その身体のしんどさを取ることしかできないかもしれないけど、でも正直に言ってほしいと感じます。
「もう死にたい」とか「もう死んでもいいんだ」と言う言葉はいろんな場面で何度も聞きましたが
「本当は生きたい」その言葉は本当に死を確信した時に聞かれます。
その言葉を聞いた時この言葉に向き合わなければいけないなと感じます。
彼を紹介してくださった方が笑って言ってました。
「癌なのに笑いながら平気で死ぬぞとか先生言わないで~。」
でもきちんと向き合うことは大事です。
気がつかないふりをするのは優しさではなく無責任。何も気がつかないふりをして頑張ろうねと言っても何も伝わらないと思います。ですからいつでもきちんと自分の身体に向き合ってほしいと思います。自分の身体に向き合わなきゃ本当に身体良くならないよ。いつもそう患者様にもお話しています。
「先生、明日お昼ご一緒にどうですか?」彼からそんなメールが先ほど届きました。
明日はゆっくりのんびり患者様と二人でお食事をします。何が食べれるかな?暖かくなると良いな。
できる何かを一つ一つ失うよりも、できる何かを一つ一つ見つけられる。
そんな風に一日一日を大事に生きて元気になってくれると良いなと思います。
骨の歪みを整えて笑顔と健康を
カイロプラクティックわかな
横浜市金沢区西柴2-10-5
TEL 080-5656-1484